失火法(失火に関する責任に関する法律)とは失火責任法と言って、
明治時代に制定されたかなり古い法律です。
これは、火災保険を検討する上でも知っていおいたほうがよい法律なのでお伝えしたいと思います。
失火法の具体的な内容
具体的な内容としては、過失により火を出してしまい(失火)、隣家などに燃え移った場合でも、
弁償しなくても良いという法律です。
この法律の適用範囲は、失火してしまった火災はもちろんですが、
他にも消火のための放水による水濡れや煙害なども含まれます。
「出火から消火までの間で隣家に迷惑を掛けた際の賠償責任が発生しませんよ」
というニュアンスで受け止めていただくとわかりやすいのではないかと思います。
この法律の由来としては、明治時代などは殆どが木造の家が多く比較的燃えやすかったことと、
長屋のように密集した家が多かったことなどに起因します。
木造で密集した家が多いということは、一旦火事になると何件もの家が巻き込まれてしまうことになります。
失火法が適用される例
仮に1件の家が火災を起こしてしまい、5件の家が巻き込まれ全焼したとします。
現在の価値で一軒が1500万円の価値だったとすると、7500万円の損害となります。
こんなときに、被害のあった隣家への賠償責任を負わないようにするのが失火法です。
自分の家が燃えている上に、7500万円を支払わないといけないとなると、
失火してしまった家庭は破産をせざるを得ないことになってしまいます。
この法律が制定された当時は、薪などで火を起こしていたこともあり、
今よりも失火の可能性も高かったと思われます。
そんな時代背景もあり、この法律が制定されて失火した人を守る意味で作られました。
【参考記事】
失火法が適用されないケースとは
では、どんな火災を起こした場合でもこの法律がが適用されて保護されるのかというと、必ずしもそうではありません。
「重大な過失」および「故意」の場合は適用されないこともあります。
もちろん、故意ならば悪質なので保護されませんし、刑事責任も問われることになります。
問題は重大な過失『重過失』の場合です。
重大な過失とみなされるのは下記のような場合です。
- 天ぷらをしている最中に出かけてしまって出火してしまった。
- 寝たばこで出火してしまった。
などです。
最近の判例からこれらは重過失にあたり、失火法が適用されないケースも出てきます。
ここは大切なことですので、しっかりと押さえておきましょう。
【参考】
また、上記の場合は個人賠償保険の特約を付けていれば対象となるケースもありますので、
保険会社や保険代理店に確認しておきましょう。
もちろん、個人賠償保険でも故意の場合は対象となりません。
失火法が制定された明治時代と平成の現代では状況が変わってきています。火災保険を検討する際にも、このあたりを頭に入れた上で行いたいものですね。